会長挨拶

愛する人たちと 愛するところで 私らしく暮らす
公益社団法人 北海道作業療法士会 清水兼悦

 

会長 清水兼悦皆さま こんにちは。

私たちは、公益社団法人 北海道作業療法士会(Hokkaido Association of Occupational Therapists;HAOT)です。
北海道作業療法士会の会員は、令和5年8月現在で3200名以上おり、今後は毎年200名以上の会員が増大してゆくことが想定されております。

作業療法士は、1965年に国家資格化されたリハビリテーション領域の医療専門職で、発達障害児、身体障害者、精神障害者、老年期障害、或いは予測される方々に、身体と精神の両面から「生活行為そのものを支援する専門職」と言えます。
具体的に厚生労働省が示している作業療法士の業務とは、以下のようなことです。

  • 移動、食事、排泄、入浴等の日常生活活動
  • 家事、外出等の生活関連活動や、道具等を用いた日常生活活動
  • 作業耐久性の向上、作業手順の習得、就労環境への適応等の職業関連活動
  • 福祉用具の使用等、退院後の住環境への適応
  • 発達障害や高次脳機能障害等に対するリハ

なお、「作業」というのには、単調な手工芸もふくまれますが、ここでの意味は、「その人が専念する作業」であり、高校生、キャプテン、経理部長、主婦業、週末ゴルファー、ボランティアなどを言います。氏名・性別・年齢の次に「職業」とありますが、その欄に記入することに近い概念です。
例えば、来年の大学受験のための進路を悩みつつ、続けてきたサッカーとの両立にて、バイトが出来ないために小遣いが少ないのに後輩に奢らなければならない2年生の新キャプテン。朝シャンで乾かしながら朝食やトイレを済ませ、汗と息切れを伴いながら自転車で通学し、授業中は居眠りしないよう姿勢を正して座り、見つからないようにスマホでメールをしている彼が、練習中に利き腕を骨折したことを想定してください。
また、これら作業や生活行為は糖尿病などの生活習慣病、息切れや骨粗しょう症などの生活不活発病、生活介護度、認知症の増悪などに大きく関与することが明らかになっています。

しかし、悲しいことに今日に至ってもなお、病院や施設などで「手工芸などを教える専門職」として誤解されています。
それは、1965年に制定された作業療法士の身分法にて、「身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせること」と、定義されたことが所以です。
私たち作業療法士会は、会員一人ひとりが広報マンとして、「わかりやすく求められる作業療法」をモットーに、正しく認識していただけるよう努力しております。

作業療法は医療の一環として医師の指示の下で行われることなので、従来の作業療法士は、主として病院やクリニックなどの医療機関で活躍してきました。
しかし、社会構造や医療・介護情勢の変化に合わせて、医療保険や介護保険などの公助や共助サービスのみならず、地域での助け合いやボランティア、個人での健康維持や参加が重要となってきました。
医師の指示や保険適応がない、個人や地域での作業療法士によるサービス提供には、「生活行為向上マネジメント」という名称にて行うようになっておりますので、併せてご理解くださるようお願い申し上げます。

北海道作業療法士会は、医療で培ってきた知識と技術を、地域で生活する皆様が、「愛する人たちと、愛するところで。私らしい暮らし」を実現することができるよう、「地域作業療法の推進」を平成25年度から26年度の目標に掲げ邁進してゆく所存にあります。
また、従来の医療保険・介護保険領域は言うに及ばず、地域での作業療法サービス、生活行為向上マネジメントによるサービス提供に資する作業療法士の育成にも努力してゆく所存にあります。
ご期待ください。